私は日産、ホンダの車をはじめ多くの日本の商品の中国語ネーミング作業を手伝った経験をもっている。自分で言うとおこがましいが、確かに私がネーミングした日本車の名前なども、中国でそれなりの評価を得ている。しかし、李白の詩から取った「露華濃」をレブロンの中国語名にしたその着眼点のよさ、文学素養の深さにその担当者の才能の非凡さを感じ、それに遙かに及ばない自分の力不足を嘆かざるを得なかった。当時、覚えたそのショックはいまでも鮮明に記憶に残っている。

撤退のレブロン、黒字化の花王

 しかし、先日、非常に意外なニュースが届いた。かのレブロンは中国市場を撤退することになった。関連報道を見ると、レブロンはアジア太平洋市場での売上高が減少するなか、中国市場から撤退し、約1100人の従業員を削減する計画を明らかにした、という。

 報道によれば、同社は2012年以来、中国での需要は弱いとしてきた。中国での売上高は同社の純売上高の約2%しか占めていない。香港市場での売り上げも不振だった。市場での存在感をすっかり失ったレブロンは、21世紀最大と見られる中国市場から涙の撤退をせざるをえなくなった。

 レブロンの事例から見てもわかるように、いいネーミングをすることはもちろん重要だが、市場へ深く浸透しなければすべてが徒労に終わる。レブロンの教訓は実に重い。

 一方、10年ぶりにようやく黒字を確保できた日系の日用品・化粧品メーカーがある。花王だ。同社のアジア事業の収益が改善し、2013年12月期はアジアの日用品・化粧品事業の損益が10年ぶりに黒字化したもようだ。苦戦していた中国も、販路の拡大などでようやく15年12月期に黒字化できるめどが立った、と日本経済新聞が報じている。

 日本経済新聞の報道によれば、花王のアジア事業の足を長らく引っ張っていたのは中国だ。進出したのは1993年と早いが、日用品・化粧品事業はともに赤字が続いていた。日本で成功した事業モデルを持ち込み、自前の販売網と品質の高い品ぞろえにこだわったが、中国の消費者に受け入れられず、苦戦していた。