「勤労の結果として、富を蓄財しても良い」。
資本主義は、ここから生まれた!

 カトリックは、「罪人も、教会に寄進をすれば救われる」と説きます。そしてルターは、「罪人も、悔い改めて神にすがれば救われる」と説きました。

 それらに対しカルヴァンは、「罪人は、救われない。救われる人間は、はじめから罪を犯さない」と冷たく言い放つのです。

 罪とは、盗みや偽証、殺人ばかりではありません。富におぼれ、欲望に身を任せることも罪です。食欲や性欲、あらゆる欲望を断ち、日々の勤労に励み、質素に暮らす。この禁欲的な職業倫理を守ることで、カルヴァン派の人々は、「今日一日、罪を犯さずに済んだ」と安心できるのです。

 365日禁欲的に働いた結果、何が起こるかというと、財産がたまってしまいます。カトリックでは蓄財自体を罪としましたが、カルヴァンは勤労の結果としての蓄財は容認します。ただその財産で贅沢をするのは罪ですから、財産は消費ではなく、商品を仕入れたり、新たな店への投資に使ったりするのです。

 こうして、富が富を生み出し、利潤を上げることを目的とする新しい価値観が生まれます。資本主義です。

※本記事は、『経済は世界史から学べ!』のディレクターズカットです。

(次回掲載は、未定です)


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