その上で、当該のシニアには、社内雇用の現状と職域開発の程度、仕事と雇用条件について、理解し、いかに納得して働いてもらいたいか、たとえば次のような諸点を伝えることだ。

 役定・再雇用での働き方は、総じて、現場仕事中心の働き方になり、時間管理もあり今よりも大変になることが多い。今まで培った管理能力や専門性も直接役に立たないことが多い。給与や待遇も大幅に下がる。60歳超雇用の場合、年金併用型賃金など定年者雇用の相場観が形成されている。このシニア雇用の現実を踏まえた上で、なお、元気で頑張るその意欲の持ち方、働き方を伝えることだ。

 筆者がやっているある自治体の再任用者研修では、元部長・課長さんたちにも、「仕事は2倍、給与は3分の1」、「培った経験や能力は半分も生かせれば上々」の新職場で頑張るのが、再任用で働く現実だと伝えている。もし、そんな給与で働くのかと思われる方は、ハローワークの求人票でもっとよい条件を見つけられればよい、とのアドバイス付きだ。そこにある給与は15万円から20万円がほとんどである。

シニアの再配置、子会社出向ももう限界!
会社が最終的に取るべき手段とは

 再雇用シニアを生産や販売現場にうまく再配置できる企業はいいが、役定・定年再雇用者が増えてくるに従い、新たな職務開発問題に直面している企業も増え始めた。すでにマネジメントの補佐職や必要な営業現場には一通りシニア配置が終わり、子会社・グループ会社出向などの受け入れ先も少なくなっている。では、このような企業はどのような対応をとればいいのだろうか。

◇雇用維持だけのための名目的な仕事は作らない

 定年後の継続雇用を希望したシニアを65歳まで雇用する高年法の原則は変えられない。企業として採れる現実的な対応策は、雇用維持を重視するなら、先に挙げた派遣社員の仕事の代替、外注仕事の内製化、仕事のワークシェアだ。

 一方、企業として経営環境が厳しく、現実にシニアの雇用を生み出すことが困難であれば、その実情に応じた別の対応の仕方も同時に考えるべきだろう。希望者全員の雇用が無理であれば、事前にそれに対応した施策を講じ、該当のシニアや組合にその理解を求めておくことだ。

 一例をあげれば、定年前に働き方の選択肢を拡大することだろう。例えば、通常の定年退職コースは処遇を変えないでおき、継続雇用の場合は、56歳・60歳で以降の報酬が○%下がるが65歳までは基本的に働くことができるようにする。または、早期退職優遇コースは定年前に辞めた場合に加算金が出るという制度を導入し、55歳でコース選択する、などで対処するやり方だ。

 あえて言えば、必要以上に、雇用維持だけのために、生産性を伴わない名目的な仕事を社内に作らないことだろう。社内での雇用限界が見えたら、組合とも相談し、退職前の働き方の選択肢を増やすことや、早期退職コース等を選択してもらうことも必要だ。社外の雇用市場で需給の調整を図った方が、双方および採用企業にとって益があるとも考えられるからだ。