「新解釈」で集団的自衛権は行使可能?
安倍首相の発言に疑問符
安倍晋三首相はこのところ集団的自衛権の行使に関する憲法の解釈変更について踏み込んだ発言を続けている。
5日の参議院予算委員会では質問に答えてこう述べた。
「行使が認められる判断も、政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることで可能だ。憲法改正が必要という指摘はあたらない」
また、解釈改憲による行使のための「3段階」、すなわち①憲法上の解釈で権利として持つ、②行使する法的な根拠をつくる、③政策的な判断をする、を明示した。
かつて安倍首相は、憲法改正によって集団的自衛権の行使を可能にすると言っていた。これなら堂々とした正論である。
しかし、解釈改憲でそれが可能になるなら、また政権が交代すれば、解釈の変更が可能になるではないか。
集団的自衛権の不行使は、現行憲法の根幹部分、憲法学者のいう根本規範の一部である。これを政府による解釈の変更によって変えるなら、一体憲法とは何ぞやということになる。
政権交代によって解釈が元に戻ることを阻止するため、学者、官僚などは、解釈変更後直ちに国際的約束にするつもりだろう。国会の批准や承認手続きを必要としない首脳会談での合意、声明、宣言の形式でこの方向で進むことを約束することによって、国際公約化して乗り切ろうとしているのだろう。一体、有権者はどうなる、国会はどうなる。それが独立国のすることかということにもなろう。