「質問型営業」というスタイルを考案した青木毅氏。「18年間、売れなかった営業マンが3年連続でトップセールスマンになった」(トヨタディーラー)「短期間で売上2.5倍の成果が出た」(大阪ガス)など、営業を苦痛に感じている人が皆、青木氏の教えを実践すると、口をそろえて営業が楽しくなるという。「アプローチ」「見極め」「プレゼンテーション」「クロージング」という営業のプロセスを通じて、「質問型営業」の全貌を全5回で紹介する。

「一度、考えておくよ」と言われてたのに、
いつまでたっても成約しないのはなぜ?

あおき・たけし。1955年生まれ。大阪工業大学卒業後、飲食業・サービス業を経験し、米国人材教育会社代理店入社。88年、セールスマン1000名以上の中で5年間の累積業績1位の実績を上げる。97年に米国人材教育リーダーシップ部門代理店に移籍。98年には個人・代理店実績全国第1位となり、84ヵ国の代理店2500社の中で世界大賞を獲得。2002年にセルフコーチングの会社リアライズ(本社:京都府)を設立。ビジネスコーチングを大阪府職員などに5年連続で指導。08年自らが実践し、所属コーチにも指導してきた「質問型営業」を指導するコンサルティングをスタート。現在、大手カーディーラー、ハウスメーカー、保険会社などで指導を行なっている。

 営業で難しいのは「アプローチ」と「クロージング」です。多くの営業マンは自社の商品やサービスについて学び、研究します。それ以外に、「何が強みか?」「どのような効果があるのか?」「他社とどのように違うのか?」なども考えます。ところがこれらをいくら頑張っても、ある問題が解決しないのです。

 それは、「商品やサービスの話をどのようにしたらお客様に聞いてもらえるか?」です。

 言葉を変えれば、お客様に自社の商品やサービスを必要としてもらい、詳しい話をもっと聞きたいと思ってもらうこと。

 そして、最終的に自発的に採用してもらうことです。これが理想的な「アプローチ」と「クロージング」なのです。

 私は30年近く外資系の人材教育の仕事に携わり、営業部門に長く在籍していました。人材教育は人の成長が「鍵」です。つまり、社内では生産性が上がること、社外では営業力が上がることが求められます。私が販売していた商材は、業績アップに繋がるというカタチが見えないと、採用には至りませんでした。

 その営業でいつも頭を悩ましてきたのが、「アプローチ」と「クロージング」でした。

 ひとたび、商品説明を始めれば、「一度、考えておくよ」という回答。また、プレゼンテーションで熱心に説明しても、ここでもまた「一度、考えておくよ」と言われます。