――根本教授は民間企業へのアウトソーシングについて提言しているが、こうした話は、これまで政府内で議論はされなかったのか?

 もちろんされてきたし、昨年6月の成長戦略の中ではPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)やPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)のアクションプランが出されており、年間1~2兆円(注)という数値目標も出されている。

(編集部注)今後10年間で総額10〜12兆円

 ただ、そのなかにはアウトソーシングは入っていないが、もちろん有効だ。ただし、老朽化問題を解決するためには次元の違う活用法を用いなければならない。ちょっとアウトソーシングを活用するといったレベルではなく、徹底的に活用するべきなのだ。

 わかりやすい例で言えば、一番いいのは東京都を民営化してしまうことではないだろうか? 都そのものを民営化して、都の職員が民間企業に転籍する形で業務を行い、仕事のパフォーマンスによって評価が大きく変化するというガバナンスを設けるのも1つのアイデアだと思う。税収はこれまで通り確保できるが、税金を使う際の効率性が格段に高まるのは間違いない。

――GDPで一国に相当する東京都でそういったアクションは可能なのだろうか?

 分割民営化という手もあるだろう。交通や医療、上下水道といったインフラは受益者負担で行われており、決して難しい話ではないはずだ。基礎自治体の細かなものをのぞけば、東京都が行っている事業というのは基本的に経済競争力を強めるためのもので、観光にしても中小企業振興といった事は民間でもできると思う。

道路陥没事故は毎年全国で数千件!
危険度ナンバーワンは実は東京都

――日本の老朽化インフラ保全において、根本教授は過去に「物理的な崩壊」と「経済的な崩壊」の2つの危険性を指摘されたが、それらの危険度は実際にどのくらいのレベルにまで達しているのか?

「物理的な崩壊」はすでに始まっている。一番危ないのは道路の陥没だ。

 昨年麻布十番で発生した陥没事故は記憶に新しい。その少し前には北区の区道でも陥没が発生している。これらの事故の原因は明らかになっていないが、一般的には道路の陥没とは地中に空洞が発生することで引き起こされるのだが、一番多い原因は地中に埋設された下水道管に穴があくことで、そこに土砂が吸い込まれて空洞化が始まる。

 その空洞が時の経過とともに、地下数メートルの場所からだんだん上昇していく。地中で発生した空洞化も最初は極めて小さなものだが、道路が陥没するレベルにまで上昇した頃には直径が数メートルに肥大しているのだ。麻布十番の崩落事故では、川沿いの道路が30メートル以上崩落していた。 

 実は危険な道路を一番多く持つのが東京なのだ。地中に電力、ガス、上下水道などの管が敷かれ、その上を過積載のトラックが通り、交通渋滞が発生すると、道路に圧力が発生する。これによって地中の土砂が動いてしまい、埋設された水道管などに穴ができてしまう。東京の交通量と道路の陥没事故には少なからぬ関係性があるのだ。道路の陥没事故は毎年全国で数千件発生しており、実は大変な問題なのだ。