2013年9月にアルゼンチンのブエノスアイレスで行われた国際オリンピック委員会(IOC)総会で、東京が2020年の夏季五輪大会開催地に選ばれた。冬季五輪を含めると日本で開催される4度目の五輪となるが、2020年大会は日本にポジティブな「レガシー(遺産)」を残すのか? 本連載ではさまざまな角度から東京五輪を検証する。
運営費に競技場建設費……
約9000億円のカネが費やされる
イスタンブールやマドリッドを退けて、2020年大会の開催地に選ばれた東京。コンパクトな大会運営がアピールされているものの、莫大な費用がかかる事実は否めない。
大会終了時までに必要とされる運営費の総額は約3000億円。こちらは企業からのスポンサー料や寄付金によって賄われる。国費を投入する新国立競技場の建設費は“当初の試算より大幅に圧縮”しても約1700億円。競技場などの建設を行うために東京都が保有している約4000億円の基金も入れると、最大で約9000億円が2020年東京大会の準備や運営に費やされることになる。
英国政府の発表によると、2012年に開催されたロンドン大会における開催費用は総額89億2100万ポンド(当時のレートで約1兆1400億円)で、92億9800万ポンドとされた当初の予算を下回る結果となっている。2016年大会(リオ五輪)も運営費は3000億円程度だが、野村アセットマネジメントが2013年10月に行った報告によれば、オリンピック関連のインフラ整備を入れた場合、やはり1兆円以上のコストがかかる模様だ。
ロンドンやリオと比較した場合、2020年大会は若干の割安感があるものの、莫大な予算が組まれることに変わりはない。