金融商品取引法(金商法)とは、株式や投資信託、外為証拠金取引や抵当証券など幅広い金融商品の取引に関して、投資家保護の基本ルールを定めた法律だ。金商法の基になった証券取引法は、株式や債券など証券の取引を想定した規定になっていたが、最近の金融商品の範囲の拡大等に対応するため、昨年6月に証券取引法が金融商品全般にわたる横断的なルールに改正され、今年9月30日に金商法として施行された。それによって、商品説明などについて金融商品を横断的にカバーする規定が整備された。
証券取引法が改正された背景
金商法の基である証券取引法は、1948年に米国の法律制度を参考にして、株式や債券などの証券の発行や流通の円滑化を図るための情報開示制度や、投資家保護のための規定を定めた法律だった。その後、65年に証券不況に伴う不祥事の多発に対応するための改正が行われ、71年には有価証券報告書の提出義務の拡大や、公開買い付け制度の導入、92年には子会社による銀行と証券会社の相互参入の解禁など、小刻みな改正を繰り返してきた。
ところが、最近、個人投資家向けの金融商品の多様化や、投資ファンドなど新しい金融商品の登場によって、取引ルールの規定範囲を広げないと十分な効果が期待できないという意見が有力になってきた。
また、国の方針として、貯蓄から投資に向かう資金を増やすことが標榜され、そうした意図を実現するためには、市場機能のインフラとして、投資家保護のルール整備は不可欠になった。
さらに、ライブドア事件や村上ファンドなど、投資ファンドを使った企業買収に伴う不祥事の発生も、法律整備の必要性を高める要因になった。そうした要請によって、昨年の法改正が実現したのである。因みに、金商法の一部について、「日本版SOX法」と呼ばれることが多い。そこでいわれる「日本版SOX法」とは、同法の内部統制報告書の提出に関する規定部分を指すことが一般的だ。