財務体質の改善は、決算書からスタートするのではありません。まずは経営者の心構えを改めることが先決です。そうでないと、いずれはまた赤字に戻ってしまうからです。では、黒字社長に共通する特徴とは、一体何でしょうか?
財務体質を改善する話になると、すぐさま決算書をもとに問題点を洗い出し、その問題をどのようにリストラして改善するか、といった話になりがちです。
確かに、赤字会社の財務体質を改善しようと思えば、その方法がオーソドックスではあります。
ただし、その効果は短期的です。
というのも、いくら財務面の問題を改善したところで、社長自身が経営や財務に対する心構え自体を改めない限り、中長期的に手元資金を貯めることはもちろん、財務体質を改善することができないからです。
では、どうすればいいのでしょうか?
私は、これまで数多くの中小企業の社長を見てきた中で、以下の5つの条件が「黒字社長の心構え」として当てはまっていると実感しています。
1.経費の使用目的を明確にする
中小企業の経理処理を見ていると、その大半の経費は、社長が支払った経費です。社長自身が経費を使うことは問題ありませんが、問題なのはその額に制限をかけていないことです。
最たる例が、交際費です。現在の税法では中小企業の場合、年間800万円まで全額損金算入できることになっています。
これを聞いて「じゃぁ、年間800万円使っていいんだ!」と錯覚して、多額の交際費を使う方がいらっしゃいますが、これは赤字社長の考えることです。
黒字社長の場合、どうするかと言いますと、以下の手順で経費を使います。
1. 税法の知識は持ちつつも、年間で交際費として使う予算の大枠(全社予算の中から交際費として使う金額の制限)を決める。
2. 毎月の使用実績をもとに、残りの予算枠を確認しながら経費を使う。
3. 使用目的を明確にし、既存顧客、既存取引先、新規顧客、新規取引先に対してどれだけ効果的に交際費を使うか、その使用状況もチェックする。
4. 私的な交際費については、経費精算を行わない。(個人負担とする)
このように、4. の公私の分別はもちろんですが、重要なのは「経費に落ちること」ありきで経費を使わないことです。
あくまで未来の売上や利益につながる経費の使い方を心掛けること。ここがポイントです。