17日に、13年10~12月期実質GDP成長率が発表された。最近、今回の実質GDPなど事前の予想に比べて弱含んだ経済指標も出ている。発表後の市場関係者のコメントをみても表面的なものが多く、重要なポイントを見落としているようだ。4月に消費税率引き上げが予定されているため、先行指標に弱含むものが出てきている。多くの人が気になっている消費税引き上げ後の景気動向について、今回は最新の経済指標を詳しくみることで予測しよう。

弱く出た10~12月期
実質成長率の裏側

 13年10~12月期実質GDP成長率第1次速報値は前期比年率+1.0%と、事前の+2~3%程度という予測より弱めの成長率になった。プラス成長は4四半期連続となった。

 4四半期連続にとどまり5四半期連続のプラス成長にならなかったのは、前期比年率+0.6%とプラスの伸び率だった12年10~12月期実質GDP成長率が0.8ポイントも低下し、同▲0.2%とマイナス成長になったためだ。GDP統計では、毎回最新四半期までのデータを用いて季節調整をかけなおすため、過去に遡ってパターンが変わり、原数値がほとんど変わらなくても季節調整値がかなり変化することがある。

 季節調整値というのは月次データや四半期データで経済を見るときに実勢を正しくとらえるために、原数値から毎年のほぼ同じような規則的変動を除去した値である。最近の季節調整法は時系列モデルで原数値を将来にまで伸ばし、それに移動平均などの手法を用いることで季節調整値を求めている。08年9月にリーマンショックが起こった直後の10~12月期以降の数字は大幅に悪化した。特殊要因として一時的な落ち込みで処理できないレベルであった。時系列モデルで原数値を延長することで、これまで10~12月期は弱めに原数値の数字が出やすい時期だと判断され、高めの季節調整値になるよう調整されてきたと思われる。そのため季節調整値ベースの10~12月期の前期比が高めに出やすい傾向にあったのだろう。

 リーマンショックから時間が経過してきたことから、時系列モデルで延長される部分において10~12月期が弱含むパターンが変化し、結果として足元の10~12月期の前期比がやや弱めに出やすくなったと考えられよう。