最終の検証報告書をふまえた検証委員会の記者会見。6人の委員のうち、2人が欠席した
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 文科省が「ベストの布陣だ」と胸を張ってきた検証委員会と、前例のない惨事の被害者遺族との間で、1年経っても、なぜ溝は埋まらなかったのか。

 この委員会を設計した文科省の前川喜平初等・中等教育局長は、質問されるたびに「公正中立に検証が行われていると確信している」と答えてきた。しかし、佐藤敏郎さんは「考えてみれば、事務局の(社会安全研究所所長の)首藤由紀さんのお父さんの首藤伸夫さん(津波工学の第一人者である東北大学名誉教授)が、委員に入っている。あのとき(検証委員構成を提案された2012年11月の四者円卓会議のとき)、もっと反対すればよかったのかもしれない」と振り返る。

「いまになって思うんですけど。検証委員を誰がどのようにして選んだのかということに、実は問題があるのかなって。親子が入っていたり、教育委員会の仕事をしている委員が入っていたり、ヨーイドンの時点で、すでに公正中立ではなかったんだと思います」

 委員を引き受ける専門家とは、どういう人であるべきなのか。そう佐藤さんは、メディアに向かって問いかける。

 製本された最終の検証報告書は、後日、改めて遺族の元に郵送されることになっている。会見した遺族ひとりひとりに、報告書を受け取るかどうか聞いたところ、「受け取りません」「郵送で送り返します」などと答える遺族たちもいた。

 検証委員会は3月1日、この報告書を石巻市の亀山市長に手渡し、3月末日で契約の任期を終える。

(池上正樹)

◆2月9日に行われた遺族向けの報告会
大川小遺族が検証委に最後の訴え
不十分な最終報告書に「限界」明記を要望

◆1月26日に行われた遺族向けの報告会
大川小検証委、追加調査の可能性も? 
噴出する疑問点を消化できず報告会は持ち越しに

◆1月19日大川小検証委員会「最終報告案」
大川小検証委「最終報告書案」に落胆する遺族
委員長の「ささやかな達成感がある」発言に唖然

大川小学校関係者や地域の方、一般の皆さまからのお話をお聞きしたいと思っています。情報をお持ちの方は、下記までお寄せください。
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<お知らせ>
当連載の著者 池上正樹と加藤順子による新刊本『石巻市立大川小学校事故検証委員会を検証する』が、2014年3月11日、ポプラ社から発売されます。

当連載の内容に加えて、最新の動向や、一般的な学校事件・事故の検証委員会を巡る問題点も取り上げています。同検証委員会が、形作られる前の段階から、最終報告書の提出までを追ったルポ。