他の編集者らは軽くうなずき、同調する仕草を見せる。女性の副編集長は部下を叱りつけ、その言い分を聞く以前に難くせをつけて遮り、一方的に話を終えようとする。それでも部下が食い下がろうとすると、こう切り返す。これが決まり文句であるらしい。

「みんな、聞いた? この人、〇〇批判をしているよ……怖い」

「いいのかな~。〇〇批判なんかして。(人事)評価が下がるよ。辞めさせられるよ」

 〇〇とは、会社の社名を意味する。編集者たちは、副編集長の指示などに疑問を呈している。会社のことなど批判はしてない。ところが、「会社 VS その編集者」というくくりにされてしまう。(④)そして、自分が上司として現場を仕切れていない現実には向かい合わない。結局、問題が問題として残ったままとなる。かくして、同じトラブルが続く。

「男と別れたからナーバスなのよ」
自らが招く混乱に気づかない女性上司

 しかも、プライバシーに踏み込んでまで攻撃を続ける。部下6~7人の中で、離婚をしている20代後半の女性がいる。この女性が、仕事の指示について疑問を呈したり、意見を言うと、本人がいないところで、あえて皆に聞こえるように口にする。

「(男と)別れたから、ナーバスになっている」「家庭のことをここに持ち込まれると、困るよね」

 それを聞く部下たちは、30代半ばの彼女に何も言えない。副編集長は、編集者としては10年近くの経験しかない。10年のうち、6~7年は雑誌編集部などにいた。書籍の編集のキャリアは、10年のうちわずかに3~4年。雑誌と書籍の編集で求められるスキルなどは、大きく異なる。