また、役職定年を迎えた人材や再雇用で働くシニア人材が、「定年前OB化」や「定年後腰掛仕事化」してしまうことで職場に与えたマイナスイメージも、一緒に働く若手・中堅層の中に残っていて、なんとなくやりにくいな…というムードを作ってしまう。

 結果的に、元上司を再雇用で迎えた職場は、シニア活用の上手な管理者がいるか、組織適合力のある人柄と能力の備わったシニアが配属されないとうまくいかないことになる。今後、再雇用者が今よりも増加し始めればそれなりに管理者のシニア活用能力も開発され、周囲の協働意識も変わってくるのだろうが、シニアが増大する前に、このような管理者の知恵や組織の協働の意識を風土にしておく「組織学習」が必要だろう。

「役定シニアや役職者の再雇用には気を使う」
人事担当者のリアルな声

前回、「上手な下山」の話をした。概略を言えば、シニアには役割の交代時期が来たことと、新たな役割の中で再度定年まで、そして再雇用終了まで、組織・上司と折り合いをつけながら、セカンドキャリアの時期を組織貢献的に働いてもらう、というものであった。

 新たな役割は、キャリアの下降期にある本人が決めにくいので、組織の全体の状況を把握している上司主導で決め、この役割遂行に必要な能力の再開発=戦力化の契機として、役定者向けのキャリアデザイン研修を行う。そこで本人の自己活用イメージをはっきりさせると同時に、上司が求める役割・成果目標とを調整する。合わせて、上司のシニア活用教育をやればいいのではないか、というのがその趣旨だった。が、先述の「キャリア問題研究会」メンバーからは「それは難しいんじゃないの?」という議論がおきた。その一部を紹介しておこう。

 メンバーからの意見は、下山のイメージは図式としては分かるが、役割や立場が変わっても、役定者と部門管理者との力関係は依然存在しており、役割決定もそうすんなりとはいかない。どんな仕事をしてもらうかも思案がいる。

 また、新たな能力の獲得をさせるのも現実には誰が何をどう教えるのか、マンツーマン指導をやっている時間もない。また、本人の経験を活かし、満足度が高く、しかも一定の成果が出せる仕事など現実にはほとんどない、との声。

 こんな状況の中で、年下の上司が多少なりともお世話になった上司に対し、あなたの新しい役割はこれです、成果期待はこれくらい、評価はこうします、と一方的には切り出せない。シニアの活用と戦力化には、現場組織と人間関係の力学を織り込んだものでなければ、現実的には受け入れられないだろう、という指摘を受けた。