シニア活用には
オモテの管理とウラの管理が必要

 この点については、筆者も同様の問題についての相談を受けることが多い。最近のカウンセリングで経験したことから、この問題解決の参考になる点を補足しておこう。

 あるメーカーで上司と部下のコミュニケーション改善の一環として、役定となった元管理職シニアを部下として上手く活用するにはどんなことが大切か、その上司(本人より年下が殆ど)と本人の相互に話を伺った事例を紹介しておこう。

 上司数人には、あらかじめ先輩シニアのプロフィールを把握するシートを事前配布して、当日持参していただいた。シートには、経験の強み、思考や行動特性、どんな仕事に就かせたいか、知識・スキル面の補強、上司としてお願いしたいことなどを記入してもらった。

 結論からいうと、このシートの埋まり具合が、本人理解と活用イメージの程度を表すものであった。よく書けている方は、上司として先輩社員の経験や実績の強みなどが理解され、これが親和性と好意的、肯定的な本人活用イメージを作っている。カウンセリングで、元管理者との人間関係や使い易さ・遣い難さなどを伺っても、多少の問題点は挙げるものの、さほど大きな障害はない。むしろ、何か現実に問題があるときは、キチンと本人に伝えるという方の方が多かった。

 逆にあまりシートが埋まらなかった上司は、一緒に働いたことが少ないとか、上司となってまだ日が浅いとか理由が付くものの、先輩社員の歩みや成果をほとんど知らず、一緒に飲んだりすることも少なく、先輩社員の理解が少ない分、活用イメージが湧かない。結果どう使いたいかや、お願いしたいことなどが明確にならず、当たり障りのない関係になっている方が多かった。

 コミュニケーションの前提となる相互理解ができていないことから、お互いが言いたいことも言えず、フラストレーションが溜まる関係になっているのだ。相手をよく知らないで、上司として部下の効果的な活用策を考えよ、と言っても無理なのである。言われてみれば実に簡単な話なのだが、この点は、双方が気付かないある種の盲点だと感じる。

 一方、役定シニアの方に、上司の方とどんな会話や関係づくりをやっているかを伺った。

 結果は半数以上が、特別問題もなくよい関係ができていると思われるものであった。役定の受け入れ、新しい役割の設定、年下上司との関係など、こちらが気にしている事柄についての質問には、「それはもう、割り切って考えてますよ。残って働くというのは、そういうことを承知してやるわけですから」という“割り切りの姿勢”を強調する方が多かった。