福田康夫首相が意外なタイミングで自民党役員人事と内閣改造人事に踏み切った。今回は、その顔ぶれをみながら、特に経済政策の面でいかなる変化が起きそうなのか、筆者なりに評価・分析したいと思う。

 まず政治的には麻生太郎氏を自民党幹事長で取り込んだことが評価のポイントとして話題を呼んでいる。確かに常識的に考えて、何らかの約束がないと彼が幹事長職を受諾したことは理解しにくい。

 福田首相が麻生幹事長で選挙に打って出て勝ったとしても福田氏の功績となるし、負ければ連座するわけで、福田氏から麻生氏に党首の座を譲って選挙をやるとの約束があったのではと勘ぐられても仕方のない人事だ。
 
 但し、麻生派はもともと弱小派閥であり、何かひとつ役を受けないと埋没するという危機感はあったのかもしれない。真相は藪の中。基本的に本人に確かめようのないことをあれこれ推測しても仕方ないので、この点は深追いしない。ただ、メディアがこぞって「国民的人気のある麻生氏」と報じるのはどうかと思う。本当に、そんなに人気があるのか。福田首相にあまりに人気がないだけではないのか。

 改造内閣の評判については、各メディアがすでに緊急世論調査を実施しており、支持率は総じて上がっているが小幅だ。いずれも支持、不支持でいえば、いまだ不支持が勝る。何もしないより少しでも目新しい分ましという範疇を出ない。

 例えば、共同通信の調査では、支持率は31.5%と前回の7月調査から4.7ポイントアップした。毎日新聞では25%と3ポイントの増加。朝日新聞では24%と横ばいだったが、読売新聞では前回の26.6%から大きく上げて41%となった。日経新聞では38%と6月から12ポイントアップしている。

 ただ、ざっくりいって30%前後の支持率では、解散に打って出られる数字ではあるまい。内閣全体がベテラン中心。自分だって年を取るのだからあまり言いたくないが、ちょっと年寄りが多いなと思う、地味な顔ぶれだ。

 株式市場の反応はどうかといえば、福田首相にはツキがなかった。内閣改造を発表した先週金曜日は前の日にニューヨーク株式市場が値を下げている。今や内閣改造1回分よりもニューヨーク株の上げ下げ1日分のほうが、材料的には、株式市場には大きく影響する状況である。