施設で暮らす子どもたちの現実に
目を向けたことがあっただろうか?

 さらに全国里親会も、昨年12月の時点でシナリオの一部を見たことから抗議。12月24日付けの「お願い」で、里親制度や乳児院、児童養護施設などについて「彼らが懸命に生きていく姿を知ることは大切なこと」「日本では現在約4万名の児童がそのような環境にいるのだということを多くの人が知る機会になるでしょう」「もちろん施設でも里親家庭でも残念ながら虐待は発生しています」としながらも、施設や里親家庭の研鑽や努力をあげ、「この番組はそれに対して水を差すようなものとなっており、とても承服できるものではありません」としている。

 慈恵病院は1月15日の時点で放送中止の要請をしていたが、その後日テレ側の対応などから「今後の放送を見守るしかない立場」としている。

 世論でも、「児童を傷つける放送内容には問題があり、改善・中止するべき」という意見から、「ドラマは表現の自由」「クレームは大げさすぎる」という反対意見、さらに「表現に問題はあるが、ドラマをきっかけに多くの人が養護施設に関心を持つことになるのではないか」という意見もある。

 フィクションであるドラマが現実の内容と異なるということを理由に、ドラマの放送内容変更や中止を求めるということについて、賛否両論があるのはわかる。

 だがしかし、慈恵病院が指摘しているように、これまでドラマでよく扱われてきた警察・病院・学校といった舞台と比べると、養護施設という環境の認知度、理解度は低い。ドラマとドラマに対する論争が私たちに問いかけた教訓の1つは、「そもそも私たちは、どれだけ施設で暮らす子どもたちの現実に目を向けたことがあったか」ということではないだろうか。別の視点から論ずる関係者の意見も聞いた。