楽天のViber社買収

 2014年2月14日、楽天はViber社(本社:キプロス)を発行済株式の100%の取得及び新株発行の引受を行い、総額9億ドルの出資を行って子会社化した。

 Viber社の本社は登記上キプロスである。ただ、同社はイスラエル人のタルモン・マルコ(Talmon Marco)氏とイゴール・マガジニック(Igor Megzinik)氏が設立し、2010年12月からサービスを提供開始したことから、現地では、登記上はキプロスだが、イスラエルの会社と報じるメディアがほとんどである。

 Viber 社は、ベンチャーキャピタルのバックアップを一切受けていない。イスラエルやシリコンバレーなどのVCと接触し、出資を断ったかどうかの事実は定かではないが、イスラエルのハイテクスタートアップのイグジットは、必ずしもVCのバックアップがなくても可能なことを示す意義あるイグジット事例となっていくかもしれない(※イスラエルのイグジットの3~4割程度は、VCからの投資を受けていない)。

 日本の代表的なインターネット関連会社楽天が、イスラエルの企業を買収したことは、実質楽天のイスラエル進出となり、今後、同社へはイスラエルのスタートアップから売り込みが、これまで以上に多く来ることになろう。

 同社にとって、対イスラエルのハイテクスタートアップ企業とのアライアンスに関しては、他の日本のインターネット関連企業よりも確実に一歩前へ出たことだけは間違いないだろう。


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