「役に立たない警察OB」と言われて
店舗に戻ると、こんどは店長から質問攻めです。
「どうでした?」「相手は納得しましたか?」「解決しましたか?」
「納得しませんでした。酔っ払っていて、話になりませんでした」
私が手短に報告すると、店長はあからさまに落胆の表情を見せます。
「やっぱり、署長クラスの大物ОBじゃないと無理なんですかね。援川さんはまだ若いから……」
なんということでしょう。「役に立たない警察OB」の烙印を押されてしまったのです。警察の元幹部なら、酔っ払い相手にどう対応するというのでしょうか?
店長の態度に無性に腹が立ち、「やってられるか!」とキレそうになりましたが、なんとかその場はこらえました。
「まあ、酔いがさめるまで様子を見ましょう。明日、私から先方に連絡してみます」
こう進言すると、「自分が対応しなくていい」と安心した店長は、「それじゃあ、お願いします」と満足げでした。じつに現金なものです。
こうして、その日は終わりました。しかし、気分は晴れません。宿舎に帰ってもすぐに寝つけないことはわかっていたので、近くの居酒屋でしっかりと心をアルコール消毒してからベッドに潜り込みました。