デジタル環境でも、中国ほど難しい市場はない

 中国といってもあまりに広大であるから、私が語れるのは、北京、上海を中心としたエリアということになるが、それほど中国というのはエリアによって先進国的な面と発展途上国的な面が混在する、マーケティング的には難しい国である。

 沿岸部と呼ばれる経済が発展しているエリアはモバイルネット環境は3Gが整備されていて、それなりに繋がる。と同時にwifiが普及しており、ネット接続は無線化が進んでいる。さらには、政府肝いりの中国版LTEの普及にも積極的なので、通信環境は近い将来、劇的に改善されると思われる。

 問題は、端末のバリエーション。正規のiPhone、Android端末もあるが、ピンク色のミニiPhone とかAndroid OSが搭載された見た目はiPhone型端末など、日本では考えられないコピー商品が出回っている。

 ユーザー数も膨大であり、広告市場・デジタル広告市場も大きくなってきているのだが、エリアによって濃淡がある一律で語ることのできない市場環境であるわけだ。

Facebookもつながらない、広告や記事も読みづらい!

 当然つながると思われるFacebookやTwitterもつながりにくい。YouTubeも見られない。これらは2009年に起きた民族紛争以降、政府がそれらをブロックしているからである。他サイトにしても、長期間にわたって閉鎖されてしまうこともある。なので、中国独自開発、独自発展しているものが多々生まれるのである。

 Twitterの代わりにとしてのミニブログサービスが微博(ウェイボー/Weibo)。4億人が使う中国最大のSNSだ。TwitterとFacebookの両方の機能を併せ持っている。また、最近では微信(ウェイシン/WeChat)というコニュニケーションツールが、ウェイボーに代わるSNSツールとして台頭してきている。企業がマーケティングを考える際にはウェイボーなしには考えられず、単なる露出型の広告よりも費用対効果の面でも優れている。

 バナー広告の露出のさせ方も日本とはかなり違う。これは以前取り上げた台湾も同様だ。ポータルサイトなどを見ると、とにかく、記事以上にたくさんのバナー広告があり、そのほとんどすべてがFlashであり、激しく画像が動いている。全画面ポップアップもするし、どこまでもついてきて消えないバーコードなども普通だ。