「これ」が正社員大量増加の真相。
ユニクロの苦しい台所事情

 こうした傾向は国内のユニクロ事業では更に顕著です。国内ユニクロ事業の25年8月期の社員(パート・アルバイト社員を含む)一人当たり売上高は3289万円であり、前年同期の3302万円に比べて13万円減少しているだけです。

 しかし、一人当たり営業利益では、25年8月期の一人当たり営業利益は466万円であり、前年同期の545万円に比べて79万円も減少しています。

 つまり、国内ユニクロ事業では「売上は依然として伸びているものの、社員一人当たりの稼ぐ力が低下しているため、収益が伸び悩んでいる」のです。

 国内ユニクロ事業の25年8月期の正社員は3441名となっており、前年同期の3485名と比べてほとんど変化がありません。これに対して、パート・アルバイト社員では25年8月期は17,337名であり、前年同期の15,296名に較べ、2041名も増加しています。つまり、社員の稼ぐ力の低下は、パート・アルバイト社員の数が増えすぎたことにあると考えることができます。

 そこで、パート・アルバイト社員を正社員に転換させることにより、社員一人当たりの稼ぐ力を高めることが、今回のユニクロの正社員増加の狙いであると考えられるのです。「規模の拡大に効率性がついていけない」。同社の苦しい内部事情が垣間見えた事例と言えるでしょう。

(次回掲載は、未定です)


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