「売上に対し、利益がついてこない」。
決算書の真実とは?

 ファーストリテイリングの売上高は右肩上がりで成長してきました。少なくとも平成21年8月期以降の5年間において同社は一貫して売上を伸ばしてきており、直近期である平成25年8月期の連結売上高は1兆1430億円に達しています。

 しかし、小売業では「売上高の増加は必ずしも業績好調のサインとは言い切れない」のです。製造業と異なり、小売業では店舗数さえ増やせば売上は増加します。店舗数が増えたことによって売上が伸びても、店舗毎の採算性が悪化していると、会社全体としては減益となり、財務内容はむしろ悪化してしまうのです。

 ファーストリテイリングの利益率に注目すると、過去3年間において利益率は悪化しています。売上高総利益率については、23年8月期の51.9%に対して、25年8月期は49.34%です。また、売上高営業利益率については、23年8月期の14.18%から25年8月期は11.63%へと大幅に低下しています。

 国内のユニクロ事業に目を向けると、25年8月期の国内ユニクロ事業売上高は6833億円であり、少なくとも2期連続で増収となっています。営業利益はどうでしょうか。