銅急落で銀行にもリスク

 中国の2月の人民元建て新規融資額は、前月の1兆3000億元から半減の6445億元となった。春節(旧正月)の影響もあるが、シャドーバンキングに神経を尖らせている政府・当局の融資抑制策強化が背景にある可能性は高い。「引き締めで真っ先に絞られるのは投機目的の資金。今回の下落は、一言で言えばクレジットクランチ(信用収縮)の影響だ」。マーケット・リスク・アドバイザリーの新村直弘代表取締役はそう指摘する。

 銅の投機の実態は不明な部分が多いが、本来の実需家だけでなく、さまざまな企業が財テクとして行っているもようだ。「運用商品がデフォルトしたりすれば、銅を担保にしている銀行にまで、混乱が広がりかねない状況」(大越龍文・野村證券シニアエコノミスト)だ。

 3月5~13日に開催された全国人民代表大会(日本の国会に相当)では、経済成長率7.5%の目標が打ち出された。過剰生産能力の淘汰や投資に頼った成長からの脱却といった構造改革を進めつつも、急減速は避けたいという政府の意図が見える。また、理財商品や社債のデフォルト懸念についても、中国の金融システム全体を揺るがすような事態になれば、政府が救済措置を取るというのが、多くの専門家の見方だ。足元の中国経済に対する市場の不安は、やや過剰反応の面がある。

 ただ、リスクが高まっているのは間違いない。はたして中国は、経済成長と構造改革の二兎を追うことができるのか。銅価格の急落がその難しさを示している。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 河野拓郎)

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