「新興国・途上国市場を開拓する」「イノベーションを起こす」。最近、極めて頻繁に目にするテーマだ。そして、このお題をどうやったら達成できるのかを知りたい、と願ってやまない人も多いだろう。そんな方々にとっては朗報かもしれない。この2つのテーマを同時に達成するアプローチとして、近年注目されている方法がある。
「インパクト・インベストメント」。
日本では新しいコンセプトの投資だが、すでに欧米にはインパクト・インベストメントを活用して、新興国や途上国市場に入り込み、イノベーションの種の発掘を行い、自社の次なる成長の原動力を育てつつある企業が存在する。本連載では、インパクト・インベストメントの解説と共に、すでに実践している企業へのインタビューを通じて、上記2つの達成の道筋を明らかにする。
新興国・途上国市場への
新しいアプローチ方法
近年、トヨタ自動車グループがミャンマー・カンボジア・ラオスで、自動車の修理・点検・部品供給のサービス事業を展開したり、パナソニックがインドに事業開発センターを設置して現地のニーズをつかんだ製品開発を進めたりと、より深く現地に入り込もうとする日本企業の動きが目立つ。
しかし、当然のことながら、変化が激しい新興国市場をしっかり理解するには時間がかかる。調査会社を通じて市場調査を行なったり、日本の政府機関に働きかけて、現地政府機関との関係性を構築して、いち早く情報を入手するべく奔走する。また、いざ進出するにしても、現地のビジネス様式に合った柔軟な組織体制や事業構造を検討し、頼れる現地パートナーを探して、とやるべきことは山積している。
「そんな議論はもう聞き飽きた」
「具体的に何をすれば良いのか、それを知りたい」
というご意見の方。それはごもっとも。