CtoCは消費税がかからない

 消費税が4月以降5%から8%になり、財布の紐を締めようと考えている消費者は多いだろう。

 しかし、消費の逆風をむしろ追い風にしそうなビジネスがある。ネットオークションやフリーマーケットなどの「個人間取引=CtoCビジネス」だ。

 消費税は原則として商品やサービスを事業者から個人が購入した場合支払うものであり、個人から個人が購入するCtoCにはかからないからだ。

 ネットオークションの老舗であり、業界最大手の「ヤフオク!」では、「ネットオークションで個人から購入した場合、消費税はゼロ円。そのメリットに消費者が気づき、増税後は取引量が増えることを期待している」(梅村雄士 ヤフー執行役員兼ヤフオク!カンパニー長)と、話す。

 ヤフオク!は昨年10月に、従来は有料だった購入者の5000円以上の入札や、出品者のシステム利用料を無料にするなど、大胆な施策を実施。第3四半期(10月~12月)は商品流通総額が前年比1.1倍に伸びたが、増税を機にさらなる拡大を狙っている。

 加えて、昨今の「所有」から「シェア」へという消費者意識の変化も有利に働く。自分で買ったものを中古品としてオークションやフリマで他者に売るリユースも、いわゆる“シェア消費”の一形態だからだ。

 さらに、スマホの普及による影響も大きい。最近は、不用品の写真をスマホで撮り、ネット上の個人間取引のプラットフォームに簡単に出品できる「フリマアプリ」が増えている。女性のファッション用品に特化した「メルカリ」や「Fril」、キッズ・ベビー用品専門の「prima」などがその代表例。これらのアプリを使って気軽に購入するユーザーも増加傾向だ。

 ヤフオク!もスマホ対応には力を入れている。月額380円(税抜)の有料会員になればPCはもちろん、スマホアプリ経由でも簡単に出品できる。また、商品に付いているバーコードをスマホのカメラで読み取ると、商品名や価格などの情報を自動的にネットから拾って表示してくれる「バーコード出品」のサービスも提供。本やCD、ゲーム、家電など、バーコードが付いている商品を手軽かつ一瞬で出品できるので便利だ。

常時3000万品が流通し、毎日新たに200万品以上が出品される「ヤフオク!」。増税後のCtoC市場のけん引役となるか?