円満退社のポイントは
「何も持っていかない」

 以前、外資系企業を渡り歩いていた人が縁あって当社に入社されたことがありました。この人をAさんとしましょう。Aさんには当時としては先駆的な業務を担当してもらったのですが、残念ながら成果を残せず1年ほどで退職することになりました。

 期待された成果を残せなかったため、社内的な評価は高くありませんでした。しかし、Aさんの辞め方はとても見事なものでした。引き継ぎ資料をきちんとファイルに整理して誰が見てもわかるようにし、当社で勤務していた期間に得た名刺や使った備品もすべてきれいに置いていったのです。そのことでAさんの評価は非常に上がりました。

 私がリクルートで人事の仕事をしていたときも、辞め方がいま一つだった人はそのまま音信不通になることがほとんどでした。逆に「さすが」と感じるような辞め方をする人は転職後もオフィスに遊びにきてくれたり年賀状のやり取りが続いたりして、良好な関係が続いたものです。

 円満退社のためとくに注意しておくべきなのは、「次の会社には何も持っていかない」ということです。先般、研究データを転職先に持ち出したエンジニアが逮捕される事件がありました。そうした法に触れる行為はもちろんダメですし、前職の営業情報を持ち出して、それに基づいて転職先で営業活動を行うような行為も倫理的にアウトでしょう。仕事で得た名刺も置いていくべきです。

「この人はアウト」というネガティブな評判は長期間ついてまわり、「彼と接触してはいけない」ということにもなりかねません。中には前職の顧客情報などを持ってくるよう暗に要求する会社もあるようですが、そういう会社には転職しないことです。