言葉は形じゃなく、意思の疎通

坪田 ちゃんと親に褒められてきた、認められてきた子は「僕は大丈夫。どんなことが起こっても、自分の親は愛してくれてる。大切な友達がいる。僕はこんなにいいところがある」と思えます。それって多分、ずっと伝えられ続けてきたことへの自信なんですよね。

 褒めることも大切ですが、叱ることは信頼関係が築けてからじゃないと意味がないんです。じゃあその信頼関係を築くためには、どういうところを意識すべきか。つまり、コミュニケーションとは、意思の疎通なんです。単にしゃべることじゃない。たとえば「『ありがとう』とは、どういう意味ですか」と、誰かに聞くとします。すると全員の人が「感謝」と答えます。でも「今日はぁー、来てくださってぇー、どうもありがとうございましたっ」と、ぞんざいに言ってみたとします(笑)。それで「今ので僕の感謝の気持ちは伝わりましたか」と聞くと「いや、むしろバカにされてる」と皆さん答えます。みんな言葉の形だけにこだわっているけど、そうじゃないんですよね。
 親子間のやりとりでよく見られる光景ですが、「ちゃんと謝りなさい!」と親が子どもに言うと「うっせえな、ごめんなさいって謝っただろう」とかも同じですよね。あるいは、上司が部下に対して、「お前、これやれって言っただろうが」とか。「なんでやってないんだ!」って叱ったりするじゃないですか。こうなってしまうのは、気持ちが相手に伝わってないから起こるんですよね。みんな言葉にこだわって、相手にどう伝わったか肝のところを意識してないんです。