どう伝わったか、がすべて

佐々木 コミュニケーションの本質は、相手がどういう気持ちなのかを想像することが前提ですね。

「1時間叱り続けることはできるのに、1時間褒め続けることができない日本人」<br />【佐々木圭一×坪田信貴】(中編)

坪田 そうです。「相手にどう伝わったかがすべてであって、自分が何を言ったかではない」と僕はよく言っています。伝え方によって相手の受け取り方は変わるのです。
 「あなたの勝利だ」と言うのと、「私の勝利ではない、あなたの勝利だ」では印象が異なりますよね。これは相手のメリットを最初に考えるという前提があって、言葉のエネルギーが相対的に増えているからです。そこが、まずやさしさの重要なポイントです。「僕が許してほしいから言うんじゃなくて、お母さんを傷つけてしまったことに対して、ほんとに申し訳ないと思ってる」と伝えると、謝罪の気持ちは相手に伝わるんです。
 あるいは、「私がこうしてほしい」じゃなくて、私がとするよりも、「あなたってほんとにここがすばらしい人だよね」と相手のメリット、相手のよさ、相手のすばらしさを相手の気持ちになって伝える。極端な話、言葉は伝える手段に過ぎないのです。サービスでも何でも同じで、相手が「ハンバーガー食べたくないな」と思ってるのに、ハンバーガーを与えられても、そんなの食べたくないじゃないですか。

佐々木 そうですね。