ストレスからお酒に走った、というと自分には縁のない話に聞こえる人もいるかもしれないが、ストレスから食に走る人、というのは男女問わずごまんといる。だからこそ、ことの重大性に気がつきにくい。しかし、イライラの解消法が食べ物以外にない、リラックス法は食べること、ずっと何か口にしていないと気が済まない……など、食べ物への依存性が高くなっていたら要注意。そこで今回は、ストレスと食の関係をみていきたい。

パンや麺類ばかり食べていない?
タンパク質不足が悪循環の原因に

 あなたはストレスが溜まると食べられなくなるタイプだろうか、それともむしろ食べ過ぎてしまうタイプだろうか。こう尋ねると、食べ過ぎてしまう人の方が圧倒的大多数を占めるように思う。

 食べることは、体に栄養を与えるだけでなく、心にも栄養を与えるものだから、たまのことなら仕方がない。むしろ、自然なこと、とも言える。クライアントの中には、「仕事の時は食欲がなくなるから平日は体重が落ちる」という人もいれば、「週末に遊びに出かけたりすると、食べなくても平気なくらいなのに、平日はやたらと食欲がある」という人もいる。傾向がわかっていれば対処の仕様もあるし、1年365日、優等生な食生活を送らなければいけないわけでもない。

 ハードだった1週間が終わろうとしている金曜日の夜、長いプロジェクトの打ち上げの夜……たまの「あー、食べ過ぎちゃった」はこの際、問題にするのをやめよう。でも、ストレスによる症状が「イライラして食べ過ぎた!」にとどまらず、慢性的に疲労感や倦怠感が続いたり、いくら寝ても眠かったり、以前よりも物事に過敏に反応するようになったら、その背後にはうつが潜んでいることもある。

 たとえば、ストレスがたまって鬱々としているときには、セロトニンの分泌が少なくなる。本連載ではおなじみのセロトニンだが、心の健康のためにも、自律神経を整えるのにも必要不可欠な存在だ。でも、過食するときに限って、手にするのは炭水化物や甘いものなど、糖質を多く含むものばかり。ハッと気がついて、サラダを添えて乱れた食生活を是正しようとしても、セロトニンの分泌に必要な材料、トリプトファンを多く含むものに限って抜け落ちていたりする。