「やりたい政策」実現のために
安倍首相の経済運営はどうなるか

 狙い通りに高支持率を得た安倍首相は、「やりたい政策」の実現に動き始めた。そう考えると、今後の安倍政権の経済政策の方向性も見えてくるだろう。要は、国民が「今さえよければ、とりあえずいい」と考え続けて、本来国論を二分するはずの「やりたい政策」の遂行を黙って認めてくれるよう、高い内閣支持率を優先することが、なによりも優先されることになる。

 逆に言えば、経済政策の中で優先されるものは、短期的に高支持率維持に資するものとなる。つまり、本来「時間稼ぎ」に過ぎないアベノミクスの「第一の矢(金融緩和)」「第二の矢(公共事業)」が続けられることになる。金融緩和や公共事業の恩恵を受ける企業は、業績悪化に苦しむ斜陽産業だからだ。

 本格的な経済回復には、「第三の矢(成長戦略)」が重要なのだが、それには公共事業を削減して斜陽産業を退場させる産業構造転換の断行が重要となる。だが、支持率低下につながる斜陽産業切り捨てを、安倍首相はできる限り先送りしようとするだろう。

 しかし、このように安倍首相が高支持率維持を優先しようとする際、ネックとなる経済の課題が2つある。「環太平洋経済連携協定(TPP)」と「消費税増税」である。TPPについて安倍首相は、「聖域を守る」と言って、製造業にも農業にも「八方美人的な対応」に終始してきた(第55回を参照のこと)。だが、交渉が最終局面に入った今後も、それを続けられるとは限らない。どこかで「聖域」とされるものも守れない、ということを国民に言わざるを得ないかもしれない。

 また、「消費税増税」である。1997年の増税時のように、景気が冷え込むようなことがあり得ないとは言えない。これらの局面では、安倍政権は現在のような高支持率を維持できない可能性がある。

 だが、こういう局面に陥れば、安倍首相は「第一の矢」「第二の矢」を躊躇なく繰り出すのではないだろうか。より一層の金融緩和や、公共事業の増発、TPPに影響される業界に対する補助金的な政策が盛り込まれた補正予算が打ち出されるだろう。