来年に控える、税率10%への更なる消費増税の行方はどうだろうか。しかし、安倍首相の決断は、支持率次第ということになる。首相は「2015年度までに国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の国内総生産(GDP)対比の赤字を10年度比で半減、20年度までに黒字化する」という財政健全化目標の国際公約を承知しているだろうが、あくまで「やりたい政策」よりも優先順が低いということだ。

 安倍首相は、増税によって、ようやく明るさの見え始めた景気が腰折れするのを回避するために、公共事業など補正予算、企業に設備投資と賃上げを促す減税措置などの経済対策を断行するだろう、その上、首相は、法人税減税の検討を政府税制調査会に指示した。法人税を1%下げると4000億円の税収減になる。もはや、財政再建の国際公約の達成はほぼ不可能だろうが、首相はなんのためらいもないだろう。すべては、誰も反対しない政策をやり続けて、高支持率を維持し、「やりたい政策」実現のためである。

アベノミクス第三の矢・
成長戦略はどうなるか

 それでは、アベノミクスで最重要とされる「第三の矢(成長戦略)」はどうだろうか。端的にいえば、さまざまな業界の既得権を奪うことになる規制緩和や構造改革は、内閣支持率低下に直結するので、安倍首相にとってはできるだけ先送りしたいものとなる。

 そもそも、安倍政権が現在「成長戦略」と考えている数々の政策は、あまり効果的なものではない。多かれ少なかれ、今までの政権でも検討されてきたものだ。端的にいえば、従来型の「日本企業の競争力強化策」で、基本的に誰も反対しない政策案の羅列でしかない(第52回を参照のこと)。

 筆者は、本来日本の成長につながる政策とは、諸外国の製造業の「アジア地域向け研究開発拠点」や「高品質部品の製造拠点」を日本に誘致することや、「ロシアから日本を縦断する天然ガスパイプライン敷設」など、日本企業に競争激化の痛みを強いてでも、外資を大胆に導入することだと考えてきた(第52回第57回を参照のこと)。だが、外資導入という、日本企業にとって最も受け入れがたい政策を、安倍首相が断行できるわけがないのだ。