ここには、1166件のパブコメが寄せられたことは記載されているものの、賛成意見・反対意見がそれぞれ何件だったのかに関する記載はない。また、パブコメ送付者の居住する都道府県や属性(個人か団体か)の分布などは公表しても全く支障ないのではないかと思われるが、そのような情報に関する記載もない(パブコメ送付時には、住所・氏名〈団体・法人名義であればその名称〉・電話番号・メールアドレス等の情報を入力することが求められる)。

 さらに、紹介されているパブコメの内容を見てみると、数は多くないものの、省令案への賛成意見も見受けられる。「少数意見を尊重しつつの多数決」という民主主義の原則からいって、これらの意見を無視することはできないだろう。

 たとえば、申請手続きに関しては、

「申請書による申請は今現在も行っている方法であり問題はないが、むしろ申請と同時に提出すべき書類(銀行通帳、証券、資産に関する書類全て他)を法定化し、義務として提出すべきことを原則化すべき」

 という意見が紹介されている。「さらに厳格に要式行為化すべし」ということだ。この意見に対する厚労省の考え方は、

「(生活保護の)要否判定に必要な書類の提出は可能な範囲で保護決定までの間に行うというこれまでの取り扱いに今後とも変更がないことにつきましては、法令の解釈に関わる事項であることも踏まえ、通知にて明記することとしております」

 という内容である。「国会で政府側が主張した『運用は変えない』という原則に基づくと、そのご意見は取り入れるわけにはいかないんです」という意図を読み取ってよいところであろう。

 また、いわゆる「生活保護バッシング報道」の大きな端緒となった親族の扶養義務に関しては、

「高所得者については、扶養義務を強化すべき」

 という意見が寄せられている。この意見に対する厚労省の考え方は、

「これまでの国会での政府答弁等において説明しているとおり、福祉事務所が家庭裁判所の審判等を経た費用徴収を行うこととなる蓋然性が高いと判断するなど、明らかに扶養が可能と思われるにもかかわらず扶養を履行していないと認められる場合に限り行うことを考えております」

 というものだ。