店舗網と顧客接点で群を抜く
セブン&アイの動向に注目

 セブン&アイは、日本の小売業のなかでもっとも積極的にオムニチャネル戦略を標榜している企業である。1万6000店に及ぶセブン-イレブン・ジャパンの店舗ネットワーク、一日一店舗当たり1000人を上回る顧客接点、競争力ある独自商品群などが強みである。

 一方、メーカーの工場から店頭に至るトータルのサプライチェーン構築やグループ企業間の商品データベース統合、リアルタイム在庫データの整備、ネットワーク型物流の構築などが今後の課題と思われる。今後のさらなる戦略の具体化に注目しておきたい。

海外展開がカギを握る
ファーストリテイリング

 2015年10月に消費税はさらに10%へと引き上げられる予定である。中期的には決して楽観する局面にはないもの弊社では考えている。この観点からは、日本の小売業の海外展開に注目しておきたい。特に目が離せないのが、ファーストリテイリングが展開する海外ユニクロ事業である。

 2014年8月期上半期において、海外ユニクロ事業は売上高77.6%増益の2320億円、営業利益は75.1%増益の280億円を達成した。中国(大陸、香港、台湾)、韓国、米国、欧州において二桁の既存店増収を達成し、東南アジア地区においても計画通り順調に推移している。通期の海外ユニクロ事業は、売上高4000億円(前年比59.2%増益)、営業利益350億円(前年比90.7%増益)を達成する計画である。今期には海外ユニクロ事業の売上高は連結売上高の約30%、営業利益は全体の24%に達する見込みで、今後連結業績全体を牽引していこう。

 一方、株式市場では国内ユニクロ事業における人件費負担の上昇を懸念する向きもある。事実、会社側では通期の国内ユニクロ事業の業績見通しを下方修正した。しかし、パート・アルバイト賃金の上昇は、ユニクロ固有の問題ではなく、すべての小売業が直面する問題である。

 ファーストリテイリングが打ち出した有能なパート・アルバイトの正社員化は、従業員のモチベーションを高めるとともに、彼らから創意工夫を引出し、組織力を強化する新しい試みである。その成否はまだ不透明だが、少なくともセクター全体が直面する大きな経営課題にまっさきに対処しようとしていることは、相対的にポジティブにとらえるべきであるものと弊社では考えている。

 世界の衣料品市場は、日本の10倍の規模である。この巨大マーケットで業績を拡大させることができれば、長期にわたって利益を成長させることが可能であろう。長期成長が見込める数少ない大型小売株として注目しておきたい。

出所:会社、BofAMLグローバルリサーチ作成