通期の業績予想を下方修正
快進撃のユニクロに何が起こったか?

 4月中旬、ユニクロを運営するファーストリテイリングが発表した2014年8月期の決算予想では、連結営業利益が当初見込みの1560億円から1455億円へ、当期純利益が920億円から880億円へと下方修正された。純利益はこれまでの増益予想から、一転して3年ぶりの減益予想となった。

 この上期だけに限って見ると、売上高は対前年同期比24%を超える伸びとなったものの、販管費が同32%増加したこともあり、経常利益は同▲0.2%となっている。こうした減益トレンドが通期業績にも影響を与えると見られているようだ。

 今回の業績下方修正の背景には、国内市場での売り上げの伸び率が縮小しつつあることに加え、人件費の増加などによって販管費が嵩んだことがあると考えられる。

 こうした業績推移を見ると、つい最近まで快進撃を続けてきたファーストリテイリングの事業にも、少しずつ逆風が吹き始めていることがわかる。

 そうした状況を反映し、同社の柳井正・会長兼社長は「世界ナンバーワンを目指して、今後も積極的な店舗展開を行う」としている一方、新しいビジネスモデルを模索することも示唆している。

 同社が世界ナンバーワンになるためには、「ZARA」ブランドを擁するスペインのインディテックスや、スウェーデンのへネス・マウリッツ(H&M)、さらには米国のGAPなどの有力企業を抜かなければならない。それは口で言うほど容易なことではないだろう。

 特に、人口減少局面入りしたわが国を経営の基盤とする同社が、すでに世界市場での販売網を整備し、ブランドも定着させているライバルを凌駕するには、さらに新しい仕組み(ビジネスモデル)が必要になるだろう。

 創業経営者である柳井氏が、同社の成長に必要なシステムをつくり、それを推進する人材にエネルギーを与え続けることができるか否か、同社としても正念場を迎えつつあると言える。

 ファーストリテイリングの前身は、1949年に現社長の柳井氏の父などが山口県宇部市に設立した“メンズショップ小郡商事”であった。その後、徐々に店舗は拡大し、72年に現社長の柳井正氏が入社、84年に広島にユニクロ1号店を開店、91年にファーストリテイリングに社名変更した。