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角川によるフロム・ソフトウェア買収の深層
――日本のゲーム産業は世界で輝きを取り戻せるか

石島照代 [ジャーナリスト]
【第50回】 2014年4月30日
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 角川ゲームスは、2009年4月に設立されたゲーム会社で社歴は5年と浅い。最近はブラウザゲーム「艦これ」の登録会員数が200万人に達する大ヒットで話題だが、その一方で第1弾オリジナルタイトル「ロリポップチェーンソー(PS3・Xbox360)」は映画配給会社ワーナーブラザーズとパートナーシップを組んで世界展開を行ったこともあり、世界累計販売本数が100万本を突破した。

 この角川ゲームスの躍進を支えて来たのが安田善巳社長だ。安田社長も開発ディレクションを行うタイプのとりわけ品質にこだわる経営者の一人で、プロデューサー手腕にも定評がある。とくに、世に埋もれてきた無名だが実力のある開発会社や開発者たちを発掘、登用し新作タイトルにチャレンジすることで、数々の開発者たちを表舞台に引っ張り上げてきた。「艦これ」や「デモンゲイズ」の大ヒットもその成果のひとつであることも知られている。

 その意味では、安田社長もまた神社長の「会社と社員の成長こそが仕事の本質」という人生哲学と、強い世界市場志向を持つという点において、共通点を持っていると言えそうだ。

国際競争力を失い袋小路に入った
日本のゲーム産業

 角川ゲームス&フロム連合ができた大きな理由が世界市場攻略であるならば、この2社連合の未来は、海外市場において競争力を失いつつある日本のゲーム産業の未来を占う試金石となるのではないだろうか。

 「最も大きなゲーム市場をホームグラウンドに持つ米国のゲームソフトメーカーが日本勢を圧倒しているのは自然の摂理です。1990年代には、日本勢がゲームで世界を席巻していましたが、それも日本に大きなゲーム市場があったからです。当時は日本人向けにゲームを作れば採算が取れ、さらには、日本でヒットしたものが海外でも売れるという環境でした。でも今は、ホームグラウンドが北米や欧州に移ってしまいました」(大手ゲームメーカー幹部)。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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