2010年、わが国の経済はどうなるのだろうか? おそらく、多くの人が、「来年も厳しい年になる」と思っていることだろう。残念だが、その予想は的を射ていると見る。
わが国は、すでに人口減少局面に入っており、少子高齢化が世界最速のスピードで進んでいる。しかも国民は、年金、介護、医療という3つの大きな心配事を抱えている。
また企業は、依然雇用や設備投資に過剰感を持っており、雇用や所得環境は厳しさを増すことが予想される。そうした状況では、どう考えても、個人消費が大きく盛り上ることは期待できない。
そのため、わが国の景気が改善するためには、「海外要因=輸出」に頼るしかない。有体に言えば、輸出が伸びればそれなりに景気の回復基調は維持できるが、輸出が落ち込むようだと、わが国の経済は「二番底」を避けることはできないということだ。
ということは、来年のわが国経済の浮沈の鍵を握るのは、世界経済の動向ということになる。
最大のポイントは、米国の景気動向だ。足元の世界経済の状況を見ると、“東高西低”の現象が鮮明化している。米国や欧州諸国の景気はようやく水面上に浮上したものの、回復のエネルギーは弱い。
一方、中国やインド、ブラジルなどの新興国の経済は元気で、すでに回復過程に復帰している。
ただし、新興国の経済には、元気とはいえまだ世界経済を押し上げるだけの実力はない。今後の問題は、新興国の経済が元気な間に、従来の牽引役である米国経済がしっかりした回復のプロセスに戻れるか否かだ。
米国が早期に景気回復の道を歩むようなら、世界経済は着実に上昇トレンドに戻れるはずだ。一方、米国経済の低迷が長期化して、新興国の景気の足を引っ張るようなことになると、世界経済の回復は怪しくなってくる。残念だが、「その懸念はまだ残っている」と見るべきだ。