初公開!越境融資でメイン先企業を倒産させた金融機関ランキング#4Photo:ermess、MAZNEVGENNADY/gettyimages、PIXTA

地元での融資が頭打ちとなる中、地方銀行や信用金庫は県境を越えて営業エリアを広げている。だが、土地勘や情報力に乏しい県外では審査が甘くなり、貸し倒れに至るケースも少なくない。では、全国の金融機関は越境融資によって、どれだけのメイン先企業を倒産させてきたのか。ダイヤモンド編集部は独自調査により金融機関ごとの越境倒産件数を集計し、実名で初公開する。特集『初公開!越境融資でメイン先企業を倒産させた金融機関ランキング』(全8回)の#4は、近畿地方の金融機関を取り上げる。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

越境融資したメイン先企業を最も倒産させた金融機関は?
京都銀行、紀陽銀行の「越境倒産」社数は何社?

 人口減少と地域経済の停滞が続く中、地方銀行や信用金庫はかつてない逆風にさらされている。預金金利の上昇に加え、インターネット銀行やメガバンクとの預金争奪戦も激化。地元で資金を循環させ切れない地銀・信金にとって、県境を越えた越境融資は生き残りを懸けた苦肉の策ともいえる。

 現に、金融庁の調査によれば、第一地銀では企業向け貸し出しの約6割(2023年9月末時点)、第二地銀でも約4割が県外向けにシフトしている。

 今後もこの比率はさらに高まるとみられるが、その裏には見過ごせないリスクもある。地域密着故の情報収集力や監視体制も、県外に出ればその優位性が失われることだ。結果、審査の精度が下がり、金利競争の末に貸し倒れに至るケースが後を絶たない。

図表:越境融資でメイン先企業を「倒産」させた金融機関ランキング【近畿地方】(サンプル)

 そこで本特集では、本店所在地の外で融資したメイン先企業の倒産件数を金融機関別に集計。これまで見えなかった越境リスクを、実名で初めて明らかにする。

 第4弾は近畿地方だ。越境倒産社数で京都銀行が5位、紀陽銀行が3位にランクインする中、1位と2位に並んだのは他地域では類を見ない、意外なプレーヤーだった。次ページでは各金融機関の越境倒産社数に加え、越境倒産比率や23、24年の年別内訳も交えながら、越境リスクの震源地を明かす。