日本オラクルが主催する産業別ITイベント「オラクル・インダストリー・リーダーシップ・サミット2014」が、4月24日都内会場で開かれた。
開会あいさつで登壇した日本オラクルの杉原博茂社長は、超高齢化社会の到来など、日本企業はさまざまな課題に直面しているとし、「大事なことは、実需のある分野に資源を投入しながら、いかに経営の質を上げて効率化できるか、そして新しいイノベーションへ投資していけるかだ」と語った。
加えて、日本企業のグローバル進出の課題について触れ、「かつて日本の産業界の先輩方が、品質の高い日本製品をどんどん海外に持って行き売っていた時代があった。しかし、猛烈なスピードでデジタル化が進んだ現在では、単に機能や性能を向上してコストダウンしただけでは世界で戦えない。もう一度グローバルに対して、自社の事業やサービスの強みを見つめ直し、実行していく必要に迫られている」と問題提起した。
テクノロジーで武装した
消費者への対応が喫緊の課題
続いて、米国オラクル本社から来日したエグゼクティブ・バイスプレジデントのボブ・ワイラー氏は、ITの進化がどのように社会と企業を変えているかを解説した。
ワイラー氏は初めにITの経済的な面に触れ、世界のGDPは約71兆ドル、その3%程度の2兆ドルがITに関する支出になっていると話した。一見すると少ないが、その2兆ドルのITがなければ、71兆ドルの世界経済が成り立たないことを強調した。また、IT支出の大部分は、欧米諸国、中国、そして日本などの国によるもので、日本は約1700億ドルのIT支出があるという。
続いてワイラー氏はITの進化について触れ、「昔は、ITは企業内の“報告手段”だったが、いまはビジネスや社会の基盤になっている」と話し、企業内の情報システムから1995年以降のパソコンの普及、さらに昨今のモバイル化によって、企業のIT支出よりも個人部門の伸びが著しいことを説明した。現在の2兆ドルのうち、約半分の1兆ドルは個人によるIT支出になっているという。
個人向けITが急拡大するなか、高度なテクノロジーを手にした消費者が企業に対して抱く期待値も大きくなっている。言うまでもなく、インターネットやソーシャルネットワークに常時接続している消費者は、自分の顧客体験を簡単に世間に知らせることができる。ワイラー氏は、いくつかのまずい顧客対応の拡散例を挙げながら「カスタマーサービスは、新しい次元に入らなければいけない」と語った。