今回は、具体的な学校=法科大学院選びの方針について考えていこう。
前回は、法科大学院について「どうやってやり過ごすか」というような観点からの意見を書いてみた。反発はあろうが、社会人に限って言えば、これは非常に大事である。いくらでも将来の選択肢がある学部卒の受験生と違って、現在の仕事や妻子との生活をかけることになる社会人にとっては、学校選びはほとんど全てを決定するといっていい。
狙うべきは
社会人に優しい学校
忘れてならないのは、社会人は学校名を追うべきではない、という点である。東大・京大・一橋・早慶中央…。ただでさえこれらの学校は、学歴信仰から抜けきれない大学4年生の激戦地なのである。よしんば入学しても、現役学生上がりに量的レベルを合わせたカリキュラムは、体力的にも精神的にもつらい。社会人には大盛も特盛も不要なのだ。
望ましいのは、社会人に優しい学校だ。地頭がいいけれども時間がない人間を修了させる大学院なのだ。もし退職して通学に専念するにしても、そうした学校の方がいいだろう。また、まずは仕事を辞めずに通学して様子を見るつもりならばなおさらだ。
さて、その学校選びを考えるにあたって、重要な示唆を含むある法科大学院の例を挙げておこう。第1回目の新司法試験で11人受験、6名の最終合格者を輩出し、全国第16位、私立大学第7位に入った学校である。
その学校の名は、山梨学院大学法科大学院。舞台は箱根駅伝ではない。日本最難関の試験である。
この快挙には実は別のストーリーがある。第1回目の法科大学院入試が行なわれたとき、各校が様々なキャッチフレーズで受験生を誘う中、山梨学院はあっと驚く手を打った。「学費全額免除特待生」の試験を実施したのである。