注目される関電の判断

 ではなぜ、泥沼状態の電力会社に、政投銀は出資をするのか。

「今回の出資は、電力会社が政投銀に泣き付いて頼んだ、というものではない」とある経済産業省の幹部は話す。そこには、政府側の思惑が透けて見える。

 まずは、政投銀を所管する財務省の思惑だ。消費税の増税から間もないうちに、電気料金が再値上げされれば、次の消費税率10%への引き上げに水を差しかねない。電気料金の値上げに伴う国民負担の増加は避けたいところだった。

 政投銀も、国の意向で仕方なく出資したわけでもなさそうだ。政投銀は、年度末までに民営化の方向性を見直す議論がスタートする。「国有に戻りたい上層部にとって、存在意義を示す絶好のチャンス」(政府関係者)なのだ。

 電力会社を所管する経産省にとっても“渡りに船”だった。経産省は原発事故後、電力会社に原発再稼働を約束する代わりに電力改革をのませてきた。だが、東日本大震災から3年たった今も、原発は全停止したまま。そこに政投銀が出資することで、経産省は面目をつぶさずに済むというわけだ。

 次の注目は、原発比率が高い関西電力だ。再稼働がさらに遅れる場合、「3000億円レベル」(電力会社幹部)もの資金が必要とされるため、関電内でも抵抗のある政投銀の単独出資はないとみられている。

 原発再稼働か、電気料金再値上げか、民間も巻き込んだ資金調達か、さらに多くの関係者の思惑が交錯する判断になりそうである。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 森川 潤)