金融の世界から体ひとつでスポーツビジネスへ転身し、そして最近ではインターネットの世界で起業したビズリーチの南壮一郎氏と、ジュエリー業界での経験ゼロからブランドを立ち上げたHASUNA白木夏子さん。異色の経験を持つ二人が語ったのは、リスクについてでした。人生に迷っている人、必読です!(構成・田中裕子)

特別な人間なのではなく、自分のリスクを把握できただけ

究極のリスクは死ぬことだから、<br />「何かが起こる方」に賭けるしかない。<br />―――白木夏子×南壮一郎対談前編

白木 今日は、ずっと尊敬していた南さんとの対談が実現して、とても嬉しいです。

 G1サミット(*編集部注・日本、世界を担っていくリーダー達が学び、交流する「日本版ダボス会議」を目指して創設されたプラットフォーム)などでご一緒はしているけれど、なかなかちゃんとお話する機会はなかったんですよね。今日はよろしくお願いします。

白木 よろしくお願いします!

 早速ですが、今日、せっかくだから白木さんに聞いてみたいと思っていたことがあるんです。僕、講演会でよく「自分は南さんみたいに元気ではないし……」と言われるんですが……。

白木 元気(笑)。

南 でも、確かに世の中には元気に挑戦する人としない人がいるな、と思って。じゃあ「挑戦した人」である白木さんの元気の源って何なんだろう? ということを聞きたかったんです。

白木 元気の源、ですか?

南 たとえば、挑戦するときの「怖い」という感情とどう向き合ってきましたか? 一歩を踏み出すとき、少なからずありますよね、そういう感情。

白木 そうですね……。いろいろな思考法はこの本に書いたのですが、いちばんは「人生を棒に振ることが最大のリスク」と考えることでしょうか。

南 なるほど、人生を棒に振ること。白木さんの「棒に振る」はどういう定義でしょうか。

白木やりたいこともできず、毎日を鬱々と過ごすこと、です。このまま晴れない心を持ちながらなんとなくおばあちゃんになってしまうんだろうか、「やりたいことができなかったなあ」と思いながら死んでしまうんだろうかって考えると、「それは嫌だ!」って。

南 白木さんにとって時間こそが宝なんですね。いや、本当に共感します。何もしないでだらだら過ごすことは最大のリスクですよね。

白木 そうなんです。南さんはいかがですか? 多くの方は「失敗するかも」という恐れから足がすくんでしまうのだと思いますが、そういう気持ちとどうやって折り合いをつけていらっしゃいますか?

 失敗に怖気づくと、現状維持に逃げてしまいそうになりますよね。そういうときは、自分に言い聞かせてるんです。「失敗したらどうする? ネタにすればいいじゃないか!」と(笑)。