誌面の都合上詳細は割愛するが、モジュール設計の狙いは「部品共用化範囲の拡大」である。これまで自動車業界における部品共用化の常識は、同一プラットフォーム内に留まっていた。これに対して、モジュール設計(=製品の差異化を、特定部品の組み合わせの変化により図ること、「レゴブロック思想」)は、この部品共用化範囲を従来比で大きく拡大することを可能にする「設計技術」である。

 仮に実現できれば、一段のコスト低減(台当り金型代や償却費、開発費の低減)が可能になる点は、容易に想像できよう。既にグローバルメジャーの中ではVWが実現しており、日系3社の中でも日産が2013年に発売したX-Trail(北米名Rogue)にて実現している。トヨタやホンダも同様のアプローチによるコスト低減を志向しており、今後はその動向が注目されよう。

 また、低コスト化や地域の嗜好に合ったモデル開発を実現するため、各社は「現地生産」を徹底する方針。当面は、新工場立ち上げなど新市場への参入に伴う先行費用が発生する局面と言える。しかし、ここで大手3社間でも対応に差が出ている点には留意したい。具体的には、日産やホンダは新興国にて積極的な能力増強を行う計画である一方で、トヨタの能力増強は控え目な点である。これは、相対的にはトヨタの方がASEANを中心に新興国進出が早かった一方、日産とホンダは先進国依存度が高かった点も影響していよう。

(2)先進国市場注力型:マツダ、富士重工

 大手3社対比では経営資源に乏しい中堅各社の「グローバル化」への対応は分かれる。金融危機以前と同様に、引き続き北米を中心とする先進国市場に注力する方針なのが、マツダと富士重工である。アプローチは異なるとはいえ、両社で共通している点はモデル開発において北米市場を最優先し始めた点であろう。

 先述の通り、北米市場は構造的に儲かりやすいにもかかわらず、金融危機以前の両社にとって、同市場は必ずしも収益源ではなかった。しかし、両社共に北米を「最注力市場」と位置付け、北米向けのモデル開発が加速した結果、北米事業での販売は劇的に改善したと言えよう。

(3)日本+特定新興国注力型;ダイハツ、スズキ、三菱自動車

 他方の中堅グループが、母国市場である日本に加えて、特定の新興国(ダイハツ=インドネシア、スズキ=インド、三菱=タイ)に注力する各社である。3社の特徴は、経営資源に限りがある一方で、特定の新興国では好まれる特徴を持つモデルを保持する点である。