「900人が採用され、
100人が辞めた」と言われる研修

 ちなみに、僕が就職した松下電器のような大きな会社では、希望する部署に配属されないのは当たり前でした。今はどうかわかりませんが、当時は大卒、高卒、高専卒などを合わせて約900人が毎年採用され、そのうち100人くらいが研修中に辞めたなんて話も聞いたことがあります(あくまでも噂ですが……)。

 当時の研修は、文系も理系も関係なく、とりあえずいろんなことをさせてみる、という感じの内容でした。入社直後の3ヵ月は会社全体のことを学びます。「松下の世界の工場ではどんなことをやっているのか」などを徹底的に学ぶ時間。

 それが終わると、次の3ヵ月では系列販売店での実習が始まります。当時、販売店にはお客さまから「テレビが故障したので見に来て欲しい」などの連絡が入り、僕らのような新人が派遣されるわけです。

 その頃のテレビは真空管を使っていたので、テスターという機械を使って、どこが断線しているかを調べ、修理をします。その現場では文系、理系は関係なく、大学院でものすごく高度な研究をしてきた人でも、同じように販売店の仕事をしていました。

 専門的なことを学んできた理系の人たちにしてみれば「こんな単純なことしてられるか!」と不満を持っていた人も多かったに違いありません。そして、販売店実習が終わると、次の3ヵ月は工場実習です。