儲かる店には
儲かるための共通項がある

前編では、ニューヨーク・マンハッタンの最新ファッションエリアと注目の店舗をご紹介しました。後編では、J.クルーのアンテナショップをピックアップし、そのブランド戦略を追いながら、ユニクロがJ.クルーに興味を持った理由を探ります。そして最後に、ニューヨークの繁盛店が共通して取り組んでいることについて整理し、これからの日本の店舗が取り入れるべきポイントをまとめます。

街の雰囲気を活かした店
バーがセレクトショップに

 マンハッタンのダウンタウン・トライベッカエリアは、レンガ造りでヨーロッパ風の街並みがきれいな、いま最も注目のエリアです。最近では著名人が居を構えるなど、高級住宅地としての顔も持ち始めていますが、元々はおしゃれとは程遠い倉庫街でした。

 しかしSOHOと同様、このエリアにアーティストが住み始め、次第にレストランやセレクトショップなど、センスの良いショップが作られるようになってきた中でも、一番の注目が「J.CREWリカーストア」です。

【J.CREWリカーストア】

 一時期、「ユニクロがJ.クルー買収か?」というニュースにより、一躍その名を轟かせたアメリカのカジュアルブランド・J.クルー。同社のアンテナショップであり、J.クルー人気に火をつけたのが2008年8月オープンのJ.CREWリカーストアです。こちらは30坪ほどの小さな店ですが、J.クルーオリジナル商品に加えて、同社がセレクトして買いつけた商品も陳列・販売されているセレクトショップです。

 その店づくりには大きな特徴があります。

 元々は、酒店だった場所がレストランブームでバーになり、さらに改装されて同ショップがオープンしました。通常の店づくりは、外の建物はそのままでも、内装はリノベーションするものですが、同店は外も中もほぼそのまま使用していて、まさに「バー」なのです。

 バーで使われていたままのカウンターにジーパンが陳列され、フロアにはオールデン(アメリカを代表する靴ブランド)に別注したローファーやニューバランスのスニーカーなど、イメージに合ったセレクト商品が並んでいます。また、バーカウンターにいるスタッフが接客しているという他にはない雰囲気も見られます。