これらは相手国の出方を見極めるだけではなく、米国の意思をテストするという性格を持つものなのだろう。中国にとって、米中の利益は合致しないにしても、米中間でマネジメントできるということを大国関係の基本においている。

 このような行動を見れば、中国が世界第二の経済大国となり、軍事大国の道を進み、西太平洋において主導権をとり、中国を中心とする秩序を構築するという意図を有していることは明らかである。

 中国の意図は、5月にプーチン露大統領も出席したアジア信頼醸成措置会議で、習近平主席が「アジア人によってアジアの安全を保障しよう」という概念(「アジア新安全保障観」)を提唱したことや、アジアインフラ投資銀行(AIIB)を設立するなどの動きをしていることにも示されている。

 ただ、中国のこのような行動が直ちに東アジアにおける中国の覇権に繋がっていくわけではない。我々がどう対応するかによって中国の行動も変わっていかざるを得ないことも、銘記しなければならない。

 特に中国を変える力を有しているのは、米国である。米国の対中戦略によって、東アジアの未来は大きく変わる。

政治の二極化と内向き志向の米国
対外関係におよぼす影響やいかに

 しかし、米国の今日を端的に表す言葉は「政治の二極化」であり、「内向き志向」である。6月10日、バージニア州で共和党の下院議員候補の予備選挙が行われ、これまで下院共和党院内総務という重職にあったカンター議員が茶会党の推薦を受けた候補に敗北した。

 この例が示すように、米国政治の二極化、すなわち共和党や民主党の中における穏健派と原理主義的勢力への二極化は著しい。米国の議会政治の根底にあった重要課題についての超党派的行動が、現在のような二極化の現象の中ではほとんど望めなくなっている。

 同時に、米国は内向きになっている。ブッシュの戦争が米国にもたらしたものは多大な財政負担と人的コストであり、米国の戦争疲れの傾向は顕著になった。オバマ大統領はイラクからの撤兵、アフガニスタンからの撤兵を掲げ、大統領に選出されたのである。