加えて、商品ラインナップが限定的であるという制約もあります。銀行や証券会社の窓口では新商品が次から次へと登場しますし、その投資対象も単なる株式、債券ではなく、不動産投資信託(REIT)や信用力の低い企業が発行するハイイールド債券など多岐にわたっています。一方、DCでは一度商品をラインナップに加えるとそれを除外するのが事実上不可能で、また投信をDCで提供するにはシステムへの接続料が必要となるといったコスト要因もあり、新しい商品や資産があまり導入されていません。これらを踏まえれば、DCでの運用はグローバル株式やグローバル債券といった運用のコアとなる資産で長期的な資産配分を構築し、それをリバランスで維持する、またはそれらのコア資産を対象としたバランス・ファンドに投資するのが適切と考えられます。新しい商品や資産の運用は、DCではなく、種類が豊富なNISAや特定口座で実施するのが良いでしょう。大事なことはDCだけで考えるのではなく、他の制度も考慮したうえで、全体最適な運用を考えることです。

年齢はもちろん、
DCの活用方法やDBの有無も考慮

 これまで当連載でくどいくらいに説明しているように、個人の資産運用の基本は、人的資本が大きい若いときにはリスクをとって運用し、年を取り人的資本が減っていくのに合わせて徐々に低リスク化していくのが正解になります。したがって50歳のオヤジであればその年齢を踏まえた資産配分を考えることが重要です。ただ、その際に定年退職後も運用をするのかも考慮する必要があります。定年退職後も運用しながら年金として引き出す場合には運用期間が長くなりますが、定年退職するときに一時金で受給するのであれば運用期間は短くなります。運用期間はリスクのとり方に大きな影響を与えますので、運用戦略を考える際にはDCの受け取り方まで含めて検討する必要があります。

 また、DBがある企業に勤めているのかどうかも運用戦略に大きく影響します。DBでは定年退職後に安定した給付金が一定期間入ってくることから、定年退職後にも人的資本があるとみなすことができます。人的資本があるならばリスクはとれることになりますので、DBがある人の場合には、よりリスクをとった運用ができるのです。