このあとは<定着>となるところで、まず僕が取った行動は<書店に走る>でした。おせちの詰め方になんらかのいわれや約束事があるだろうとぼんやり知ってはいましたが、何も明確ではない。

 ざくっとならネットで検索もできます。しかし、こういう作品を構築するうえでのマニアックな知識は、それを表に出すか出さないかにかかわらず、作る際にどうせならしっかり吸収し、さらに資料として手元に残しておきたいのです。

 大型書店の料理コーナーで、写真満載の大判MOOKを2冊購入。1冊は、詰め方についてとてもわかりやすく図示、解説されていて、立ち読み時点でこれは面白くなりそうと事務所に戻る。

 ゆっくり読んでみて、料理を詰める際の仕切り方に、深い意味があると知りました。さらに、それをお重の段ごとに、中に入れる料理のいわれと共に、バリエーション豊かに展開しているのです。そのディテールに、日本人の高い美意識、こだわり、豊かなクリエイティビティが伝わってきます。

 その内容ここで書き出すスペースがないので、深掘りしたい方はググってみていただければ。いまやったらさっと出てきたこれ<お重詰め・詰め方の種類とコツ>や、  これ<おせち料理の重箱への詰め方~3段、5段、タイプ別に解説>でもかなりわかります。ウィキペディアはこれ。 

構成を練る上で改めて
認識する日本人の繊細さ

 これで敵を知ったので、いよいよ構成を考えます。

 まず、お重の段数を決めます。3段でも5段がベーシックなのですが、見開き2ページの雑誌連載だったので、2ページの上下に1つずつならレイアウトが美しいので、4段に決定。

 お重の番号が上から順に、壱、弐、参、与と、旧字がいい雰囲気。特に、与の重は<四(し)が「死」を連想させ不吉で縁起が悪いことから「与の重(よのじゅう)」と呼ばれている>と。日本人の繊細さが見て取れていいですね。

 さて、詰め方は、壱の重は「市松」で、祝い肴と口取りを。弐の重は「段取」で、焼き物を。参の重は「手綱」で、煮物を。与の重は「隅切」で、酢の物を、としました。