――しかし、103万円を超えても、社会保険料を支払う基準である「130万円の壁」がすぐに訪れます。

 確かに「130万円の壁」はあります。しかし、10年前と比べて35歳の平均年収は約100万円も減っています。ボリュームゾーンは500万円代から300万円代に移動している。すでに90年代から共働きがマジョリティとなっていますが、今後もこの流れは変わらず、共働き夫婦が当たり前になります。そういう経済情勢のなかでは、実際には「130万円の壁」云々ということは言っていられないという人のほうが増えてくるのではないかと思います。

家族手当は昔は意味があったが
そもそも仕事の成果と関係ない

――家族手当を支払う企業では、配偶者控除を受けているかどうかを基準にしているところが多いといいます。

 私は家族手当も見直した方が良いと思っています。そもそも家族手当というのは仕事の成果と関係がない。

 家族手当の対象として、妻と子どもがあるが、子どもなら生まれたら支出が増えます。だから「子ども手当」として支給するのはまだ分かります。しかし、妻が働くかどうかは先ほど言ったように選択の問題。企業が手当としてサポートする意味がよくわからない。

 昔は意味があったと思います。かつて、企業は死ぬほど働ける企業戦士を求めていたからです。会社で長時間にわたって働いて、家に帰ってフルチャージしてもらって、それでまた会社に来てもらうという、“社員の再生産”という役割が家にはあって、妻はそれを支える大切な存在だった。だから、妻の担当する家事は会社にとっては支払うべきコストだったわけです。

 でも今はそういう人が本当に必要なのかどうか。今はイノベーションを担える人が必要。長時間、がむしゃらに働ける人は、昔ほど必要ではなくなっているのではないかと思います。

 配偶者控除の見直しに反対する人の気持ちは分かります。自民党はそもそも公約違反ですし、政治に裏切られてきたことがあるから、今回の配偶者控除見直しで浮いたお金を法人税減税の穴埋めに使われるんじゃないかと考えてしまうのも分かる。だからお金の使途について注意は必要です。しっかりと保育の分野に使われるように法律に明記して、女性が働きやすい環境を整える。

 政府不信に陥って現行の制度をそのままにしておくより、見直しを進めて、女性が活躍しやすく子どもを育てやすい社会に変わっていく方が良いと思っています。