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米国のトランプ関税で日系自動車メーカーの利益が押し下げられている。さらに、中国系EVメーカーが中国市場で台頭したことに加え、日本勢の“ドル箱”だった東南アジア市場にも攻勢をかけている。日系自動車メーカーやサプライヤーのビジネスモデルは、根本から揺らいでいるのだ。特集『26年版・倒産危険度ランキング【危険水域408社】 過剰債務企業に迫る「最終審判」』の#8では、自動車業界の倒産危険度ランキングを検証。“危険水域”にランクインした23社の顔触れを明らかにする。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
トランプ関税と中国勢の台頭で日系メーカーが苦境に
“ドル箱”だった中国と東南アジア市場で大苦戦の結果…
米国のトランプ政権による関税率のアップと中国系EV(電気自動車)メーカーの台頭によって、日系自動車メーカーのビジネスモデルが根本から崩れつつある。
トランプ関税の影響などで、日系自動車メーカーの2025年度中間決算は、「トヨタ自動車以外総崩れ」の様相となっている(詳細は『トヨタ以外「全負け」!?逆風下の自動車7社決算、トランプ関税で「日産より苦しいメーカー2社」を独自指標で浮き彫りに』参照)。
トランプ関税が「ニューノーマル」となったことで、完成車メーカー各社は、グローバルでの生産体制の見直しや、米国から日本への自動車の「逆輸入」を検討している。他社に先駆けて先手を打ったのはトヨタだ。26年より、セダン「カムリ」、ピックアップトラック「タンドラ」、スポーツタイプ多目的車「ハイランダー」の3車種を米国から日本に輸入する。
本来ならば、トランプ関税によって、米国市場で減益になる分を、中国や東南アジアでの販売台数増加で挽回したいところだ。しかし、それらの市場では、台頭する中国系EVメーカーが待ち受けている。
中国市場における25年1~11月の累計販売台数は、トヨタが162万台で前年同期比1.8%増と善戦しているものの、日産は60万台で4.3%減、ホンダに至っては58万台で21.9%減となっている。同市場における日系メーカーの劣勢が鮮明になっているのだ。
中国系EVメーカーは、低価格を売りに東南アジアにもなだれ込んでいる。例えば、タイでは、5年ほど前まで日系メーカーがシェア9割を握る「独壇場」だった。しかし、足元のシェアは7割以下に低下する一方、中国勢のシェアは2割を超えた。
ある日系部品メーカー首脳は、「日本勢が、中国と東南アジアで苦戦することを前提に、次なる打ち手を考えている」と打ち明け、産業機械など自動車事業以外への注力も進める。
トランプ関税や中国系EVメーカーの台頭で、日本の自動車産業は、「地盤沈下」しているといってよい。今後、日系メーカーの倒産が増えることは想像に難くない。
では、「倒産危険度が高い」のはどの企業だろうか。
今回、ダイヤモンド編集部は、逆風が吹き荒れる自動車業界を対象に倒産危険度を検証した。その結果、23社が危険水域となったことが判明した。次ページで、その顔触れを紹介していく。







