Photo:Bloomberg/gettyimages, Diamond
ニデックが不適切会計疑惑の発覚直前に実施した資金調達が根深い不信を呼んでいる。ダイヤモンド編集部の取材によると、ニデックは6月末、京都銀行をアレンジャー(主幹事)とするシンジケートローン(協調融資)を実施し、400億円を調達した。これがニデックのみならずメインバンクの京都銀行に厳しい視線が注がれている。特集『永守ニデック 最終審判』の#6では、ダイヤモンド編集部の独自取材を通じて、疑念の真相に迫る。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
永守氏の「精神的なメインバンク」が主幹事
シンジケートローンに潜む疑惑
ニデックと京都銀行は特別な関係にある。ニデック創業者の永守重信氏は、創業期に資金調達を求めて複数の銀行から門前払いをされた末、7件目に訪れたのが京都銀行だったと明かしている。そこから始まった取引を通じて、永守氏は京都銀行を「精神的なメインバンク」と呼び、50年以上にわたる付き合いを続けてきた。
実際に、2025年3月時点でニデックの主要借入先を見ると、京都銀行は765億円と融資残高でトップに立つ。続いて、三菱UFJ銀行が630億円、欧州投資銀行が373億円、三井住友銀行が320億円と続き、足元では京都銀行と三菱UFJが並行メインバンクの位置付けに当たる。
さらに京都銀行はニデックの大株主でもある。筆頭株主の永守氏(保有比率11.69%)に続いて、京都銀行を中核にする京都フィナンシャルグループ(同4.16%)は第4位株主。機関投資家を除けば、実質的に第2位株主に相当する。
だが、こうしたニデックと京都銀行の“蜜月関係”は、不適切会計疑惑の浮上をさかいにして静かに変調を来し始めている。
そのきっかけが、ニデックが25年6月末に京都銀行をアレンジャー(主幹事)として実施した400億円のシンジケートローン(協調融資)だ。
ダイヤモンド編集部の取材によると、京都銀行の呼び掛けに応じ、このシンジケートローンには、地方銀行を中心に20行を超える銀行が参加した。ほとんどの銀行はニデックと取引実績のない銀行だったが、この時点で「優良企業」と見なされていたニデックとの新規取引をチャンスと捉え、貸出金利には破格ともいえる条件が付けられた。
だが、その直後に不適切会計疑惑が発覚し、事態は一変する。シンジケートローンの参加行の間では、ニデックだけではなく、主幹事を務めた京都銀行の与信判断や説明責任に対しても、厳しい目が向けられ始めている。
問題のシンジケートローンは、なぜこのタイミングで実施に至ったのか。次ページでは、独自取材を通じて、シンジケートローンに至るまでの水面下の動きと取引の詳細を明らかにした上で、疑念の真相に迫る。







