ニューヨークで活躍する日本人弁護士は、世界の敏腕弁護士とどう渡り合っているのか?ニューヨーク州弁護士の大橋氏が自ら実践している「交渉の絶対セオリー」を紹介する。第3回は、交渉相手の主張に反論したいとき、あるいは相手の言動を正したいときに役立つフレーズについて。

相手の主張を頭ごなしに
否定してはいけない

 交渉においては、相手の意見を認めてばかりもいられない。少しでも有利な条件を得るためには、相手の意見に反論し、自分の主張をきちんと伝えなければならない。

 とはいえ、「いいえ、それは間違っています」「いや、そうではなくて……」などと否定的な言葉から入るのは禁物。

 自分の意見を頭ごなしに否定されると、相手は真っ向から拒絶されたと感じる。伝え方によっては、人格を否定されたように感じるだろう。

 当然、相手はあなたにネガティブな印象を持つようになり、あなたの意見を受け入れようとはしなくなる。

 交渉の目的は、相手を言い負かすことではない。お互いに満足できる結果を得ることだ。たとえあなたの主張が正しくても、伝え方が悪いばかりに相手からそっぽを向かれてしまえば、元も子もない。

 それゆえ、反論するときは、まず相手の言い分を「イエス(そうですね、あなたの言うことはよくわかります)」と肯定する。そのうえで「バット~(ただし、今回のケースは特殊なので○○だと思う)」と自分の主張を展開することだ。